Shigeyuki Kobayashi_Some Basic Observations of Word Order in Old English with Special Reference to Ælfric’s Translations of the Old Testament and the Old English Gospels_聖学院大学論叢23-2.pdf
古英語資料の中で,アルフリッチによる『旧約聖書』(The Heptateuch)はラテン語からの古英語への翻訳として有名である.また,『古英語福音書』(The Old English Gospels)も古英語への訳者は不明であるが,アルフリッチのものと同等に資料的価値が高い.前者は10C末,後者は10C後半にウェセックス地方で作られ,11Cに書写されたものである.また,ほぼ同時期に同じ地域で書かれたものであるため,これらを比較することによって,翻訳者による古英語の違いを明らかにすることは基礎的研究として有意義であると思われる.本論文における調査は予備的研究として限られた資料の上で行ったが,VO/OV 語序とSV/VS語序に関する違いが認められた.