SERVE公開一周年記念インタビュー

SERVE公開一周年記念インタビュー
聖学院学術情報発信システム「SERVE」の公開1周年を記念して、初の研究者インタビューを実施しました。今回のインタビューをスタートに、本学の先生方や研究者の皆さんの研究についてや、「SERVE」に対するご意見をうかがっていきたいと考えています。
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  記念すべき第1回目の研究者は、現在「SERVE」の閲覧件数第1位、ダウンロードでも第5位の論文の著者、  人文学部欧米文化学科の佐藤啓介先生です。
<SERVE閲覧件数第1位>担当者:   先生の論文が「SERVE」の閲覧件数第1位となっています。感想はありますか?
佐藤先生:自分でブログをやっていて、そこにアドレスをのせたのを、他の研究者の人が転載を重ねていったというのが考えられますね。あとはリポジトリというのがどんな形式のものなのか、そういうところに興味を持つ人も多いと思いますね。私は人文系ですから・・・。そういう意味では、「SERVE」を紹介するという役割を果たしているかなと。
担当者:   普段から研究者同士の情報のやり取りとして、ブログを紹介しあったりされますか?
佐藤先生:30代・40代の若手の研究者の間では割とブログは持っている人が多いと思います。ブログもそうだし、RSSを使って他の人がどんな研究をしているのかをリサーチしたり、研究会情報もそれで取れますしね。
<該当の論文・研究について>
担当者:今回の論文「悪の目的論から悪の逆説へ:中期リクールにおける終末論概念の変容」(聖学院大学論叢)ですが、こちらの内容について簡単にご紹介いただけますか?
佐藤先生:私はポール・リクール(フランスの哲学者)という人の思想について博士論文を書いたのですがその中で明らかにできなかった部分があって、それについて書いてみようと思って書いたのがこの論文ですね。
担当者:   先生がリクールを研究のテーマとして選ばれた理由やきっかけなどをお聞かせください。
佐藤先生:私は現代のフランス哲学が専門なんですが、大学生のころ、フランス現代思想が一種のブームになったんですね。それで私もその世代の最後の方にいたんですけど、大学時代の指導教授が「そういう派手なものを研究するのはやめなさい」と。同じフランスの現代思想の中でもあまり派手ではないものを選んだらこうなった。消極的な選択をしたらリクールだった、という・・・。(笑)
担当者:   先生が今、取り組まれている研究テーマはなんですか?
佐藤先生:1つは現代イタリア哲学。力をいれてやっているところです。なかなか研究の時間がとれないんですけど。翻訳なども含めて進めています。
担当者:   次はイタリア哲学の論文でお会いする、ということになりますでしょうか。佐藤先生: 書けるといいなぁと思っています。<授業で学生に伝えたいこと>担当者:   先生が授業を通してなど、学生にこれだけは伝えたいと思っていらっしゃることはありますか?
佐藤先生:そうですね。聖学院の学生はとても素直というか、極めて疑うことを知らない。「こうだよ」といえば、素直に信じてしまう。美徳といえば美徳ですが、批判精神を持つことも必要なんじゃないかと。先生が話すことも本当じゃないんじゃないかと疑問を持つことが、問題提起というか考えることの最初になるんだよ、と。なので、よく僕は授業のなかで「今言ったことは正しくないかもしれないよ」みたいなことをいったりします。ただ素直にノートをとって試験で書いておわりではなくて、あの人のいったこと嘘くさいと思ったら図書館で調べてみてごらんというわけです。
担当者:ありがとうございます。図書館としては、うれしい流れです。実際にこの間のレポート情報(*1)でも、先生の授業のレポートは「調べる」だけでも駄目で、「考えて書け」という考えが前面にでていました。
*1レポート情報とは
図書館では、レポート課題についての情報(ブックリストやテーマなど)を先生や学生から知らせてもらうようした(2009年度より正式スタート)。この情報を受けて事前に関連する資料を準備(購入)したり、必要に応じて館内閲覧に切り替るなどの対応を行っている。
<「SERVE」やリポジトリについて>
担当者:「SERVE」はこの2月で公開1周年を迎えます。「SERVE」についてご意見などがありましたら、お聞かせください。
佐藤先生:2つほどあるんですが。1つは「SERVE」というよりは国立情報学研究所とかでやってくれないかなということなんですが、CiNiiやリポジトリにRSSのようなものをつけてくれないかなと。そうしてメタデータが集まれば、誰かがメタリポジトリを作れますから。2つ目は、「SERVE」になんですが、トップページに「聖学院大学論叢」とか「聖学院大学総合研究所紀要」とかあるけど、ぱっと見に、何が入っているのかがすぐにわかるようになっているといいのかなという印象を持ちました。
担当者:   ツリーが提供されていますが、わかりにくいでしょうか?
佐藤先生:ツリーまで行けばいいんですが、トップページにない。今後どういうものを入れていくかにもよるが、何が入っているのかが、最初にあったほうが良いという印象を受けました。
担当者:   わかりました。早速、検討したいと思います。<オススメの本>担当者:   最後に、先生のオススメの本をご紹介してください。
佐藤先生:どちらも学生さんへ、なんですが、まずは哲学教員としては野矢茂樹さんの『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』です。これは大学図書館にも入れてもらったと思う。
担当者:   オススメのポイントは?
佐藤先生:絵本作家さんの挿絵がついていて、センスがいい!大学学生が本当にはじめてものを考えはじめたときに読んで欲しい。極めて楽しく読める。もう一冊は大学教員として。内田樹さんの『先生はえらい』。
担当者:   そのココロは?
佐藤先生:先生は“えらい”んです。大学教員なんて、何言ってるのか訳分かんないくらいにコミュニケーションが取れないのがえらいんだ(笑)、そういう訳分かんないお話です。

オススメ①

オススメ②

野矢茂樹『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』(PHP文庫)PHP研究所 2004.8図書館所蔵あり(1階新書・文庫) 104||N97内田樹『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)筑摩書房 2005.1図書館所蔵あり (3階書架) 370||U14


************************************************************************************** 1周年の記念にインタビューやってみたいな~。せっかくだから、閲覧数1位ということで佐藤先生にお願いできるかな~、とちょうど思っていた矢先、図書館に佐藤先生の姿!これを逃してはならないと、インタビューをお願いしたところ、先生は快くお受けくださり、その日の内に実現してしまいました。入試・広報委員、GP担当とお忙しい先生ですが、そのフットワークの良さを実感。佐藤先生、ありがとうございました。この突撃インタビュー?!は今後も続きます。本学の先生方、ご協力よろしくお願いいたします。(菊)

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