8周年記念インタビュー

SERVE公開8周年記念インタビュー
聖学院学術情報発信システム「SERVE」は2017年2月28日に公開8周年を迎えました。この間、SERVEの活動にご理解とご協力をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
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SERVE公開8周年を記念し、聖学院大学政治経済学部政治経済学科教授である
宮本悟 先生
にインタビューを行いました。
<1.SERVEが8周年を迎えました。>
宮本先生:現在、日本に限らず世界各国で図書の電子化をすすめております。ただ、電子化は、先進国では意外と遅れているところがあり、日本の大学も明らかに遅れをとっています。電子化が進んでいる国では、学生たちがパソコンなどによってすぐに本や資料にアクセスできるようになっています。ですから、今後ますます電子データの必要性は高まっていきますのでどんどん電子化作業を進めていってほしいと思います。

<2.これからのSERVE・図書館に期待していること>
宮本先生:資料の電子化はさらに加速します。本にしても雑誌にしても電子データで読めるものはそちらに移行していくべきだと考えております。ただどうしても専門書の類は電子データ化が遅れておりますし、教員が個々に電子化するわけにもいきません。だから、貴重書のようなものに関しては電子化していくような設備・システムがあればよいと思っております。また、卒業論文、修士論文、博士論文、学生たちが書いたものも電子データで保存できるようにしていただければ、これからの聖学院の発展に大きく寄与することになるだろうと思います。博士論文は公開を義務化しましたし、卒業論文や修士論文も、一部の大学ではすでに公開しています。今後は、卒業論文や修士論文もすべて公開される方向に進んでいくでしょう。

<3.アーカイブやリポジトリを利用していて助かったこと>
宮本先生:外部で自分の論文を読まなければいけないときに利用しています。また、他者に論文を渡すときに、昔は印刷物を郵送していました。しかし、今はメールでリンクさえ送ればよいので非常に便利です

<4.今後の研究について>
宮本先生:軍隊と政治の関係である軍政関係について、その理論を最初に作ったサミュエル・ハンチントンについての論考を含めた政軍関係について本を書く予定です。これを今年か来年には完成させたいと考えております。しかし、私は北朝鮮研究者としての顔もあり、最近は自分がやりたい政軍関係の研究ができない状態になっていますが、政軍関係の研究はこれからも続けていきたいと思っております。

<5.学生に伝えたいこと>
宮本先生:「本を読め」ということは当たり前の話です。自分に興味を持つ、自分が興味を持つものを見つける作業が本を読む理由です。つまり自分の経験だけで自分のやりたいことを見つけようとするとそれは結局狭い範囲でしかない。本を読むことは他人の経験を吸収する方法でもあるので、一つ一つ丁寧に読めとはいわないけれど、自分が何か打ち込めるようなものを見つけるために本を読んでください。
またその時は一字一句読むよりも、広く!浅く!読むのがポイントです

<6.お勧めの本>
宮本先生:①久米郁男『原因を推論する : 政治分析方法論のすゝめ』有斐閣 , 2013
原因を特定するための方法を論じたものです。学問として原因を特定する方法は、分析方法として学ばなければいけません。そういった教科書はたいてい英語でした。その中でこの本は日本人が書いた日本語のものとしては最高であろうと思われる本です。筆者は、日本の政治学者のなかでも飛びぬけて優れた政治学方法論の研究者です。政治学は究極的には、どのように制度を構築するか、秩序をどうやって維持するのかということを研究する学問です。ですから、秩序を乱したり、維持したりする原因をどうやって特定するのかが非常に重要です。家庭の中でも政治はあります。息子をどこの大学にいれるのか、誰がお財布を握るのか、離婚するのか、これらすべては政治によって決まります。どのように決定し、秩序をつくるのかが政治だからです。そしてなぜその秩序が乱れたのか。なぜ事件がおきたのか。そういったものを推論するのがまさに政治学の一番重要なところです。特に制度や集団の規模によって組織は大きく変わります。その原因を特定し、制度をどう構築すれば秩序がとれるのか。そういったことを推論する方法を教えてくれています。

②五百旗頭真『大災害の時代 : 未来の国難に備えて』毎日新聞出版 , 2016
私の師匠である五百旗頭先生の本です。「いおきべ まこと」と読みます。神戸大学の教授から、防衛大学校の校長になり、現在熊本県立大学の理事長を勤められている方です。つまり、阪神大震災、東日本大震災、熊本大地震と地震が発生したところにすべてお住まいでした。というわけでもともとは日本政治外交史や日米関係論の研究者でいらっしゃいましたが、地震対策の研究にも力を注がれた方です。きっかけは阪神大震災でした。家屋の倒壊による死亡者が多く、先生のお弟子さんの一人も家屋倒壊により亡くなられています。そこから、政治学者として震災のときの対応についての研究を始められました。その後、防衛大学校校長に就任されましたが、そこで勤務されている最中、東日本大震災が起こりました。その時には東日本大震災復興会議、続いて復興推進委員会の委員長として、東日本大震災の復興に尽力されました。その後、熊本県立大学の理事長就任後に熊本地震がおきました。熊本県立大学は、地震発生後30分ですべての授業を一週間停止し、登校も禁止しました。さらには学生たちの安否確認も始めていました。震災対策の重要性を先生が普段から認識したので、大学も迅速に対応できたのだと思います。熊本県立大学は現在学生が増加しています。危機管理ができていることが好評価されています。なぜなら今は大災害の時代だからです。東京もそうです。今度地震がおきたら、関東大震災とは比べ物にならないくらい大きな被害を出す可能性があります。その被害を、自衛隊だけではなく、一般人が自ら最小限に抑えるという意識を持ち、いつも危機は起こりうることを認識するようにしてもらいたい、というのが先生の願いでもあります。ですから、大震災のときに人々がどのように対応したかについて書かれたわけです。


オススメ①

オススメ②

久米郁男 著五百旗頭真 著
『原因を推論する : 政治分析方法論のすゝめ』『大災害の時代 : 未来の国難に備えて』
有斐閣 , 2013毎日新聞出版 , 2016
図書館所蔵あり(2階推薦100P)311.16||Ku37図書館所蔵あり(3階書架)369.31||I61
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毎回インタビューをして思うことがあります。「先生は語りだすととまらない」「その話が非常におもしろい」ということです。何が言いたいかというと、今回も大きくカットをしました。宮本先生から「SERVEには笑いが足らん!」とも言われましたが、すみません。笑いは入れられませんでした。なお、五百旗頭という苗字は『重版出来!』(松田奈緒子著)のキャラクターに一人いるそうです。ドラマだとオダギリジョーの役だったそうで。(田y)

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