SERVE運用指針決定記念学長インタビュー
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2007年に構築が始まったSERVEももうすぐ公開2周年。2010年12月には登録件数1,000件を突破しました。 そして2月の教授会では運用指針が承認されました。これを記念して、学長・阿久戸光晴先生にインタビューを行いました。 |
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 | 1<運用指針承認> -運用指針が承認されました。このことについて一言お願いします。
このSERVEの意義(後述しますが)について、十分話し合いましたが、教授会メンバーが良き理解を示されたことに誇りを感じます。というのは、私たち研究者は職業柄批判にもともと敏感な傾向があり、公開や公表に警戒的でいわば"too defensive"なことが多いからです。しかし堂々と自分たちの研究成果を公開することに、私が記憶するかぎり最終的に満場一致であったことはすばらしいことであったと存じます。 |
2<SERVEへの期待>-先生は立ち上げ当初よりSERVEのよき理解者でいらっしゃいました。SERVEの活動について感じたことや、期待されていることなどをお聞かせください。
私はSERVEが最初にスタートした際の説明パンフレットの巻頭言で、マルティン・ブーバーの『出会い』という著から引用しつつ大要次のように書きました。すなわち、私たちが部屋の扉を閉じて本を開き読書に集中し思索するのは、やがて書を閉じ扉を開けて、友とそこからの思いを語り合うためであると。
このSERVEは、市民の中の大学の重要使命として、研究の成果を広く社会一般に広く知らしめ分かち合う社会貢献です。また、この成果に触れた人々からの各種各様のレスポンスが生まれるでしょう。それはまた正に私たちの研究思索にプラスとなることが期待されます。この意味で、SERVEは大学世界にとどまらず一般市民社会とも呼応する、らせん状の知的向上を産むことが期待されます。3<SERVE登録の成果を読んでいただきたい人々>-SERVEに登録された本学の研究・教育成果などをどのような人に読んでもらいたいですか。
私は、前述のとおりアカデミック世界の関係者だけでなく、学生はもとより実務者、主婦など一般市民社会の市井の人々に広く読んでいただきたいと思っております。また本学の論叢の場合、冒頭にabstractという英文の概要紹介が付されており、世界の人々もアクセスできるきっかけがあり、海外の人々にも触れていただきたいと思います。4<推薦書>-最後に先生のおすすめの本を教えてください。
(1)『聖書』(日本聖書協会) 'the Bible'とは正に『本』の意味です。この『本』はいかなる時空をも超え、人間のあらゆる知的思索、普遍倫理的価値基準、全存在的感動の源泉です。文語訳、口語訳、新改訳、新共同訳などがあり、それぞれ特徴と長所がありますが、一応口語訳を推薦します。(2)マックス・ウェーバー『職業としての学問』(岩波文庫) 知的作業に取り組む人のいわば必読書でしょう。生きる中で必須の価値観とホモサピエンスにふさわしい理性的考察の緊張関係と統合を目指し、知的誠実であることの重要性を教えてくれます。(3)ジャン・ジオノ『木を植えた男』(あすなろ書房) 他にも多々あるのですが、今回はあえてこの書を推薦いたします。人間が「生きる」ということ、「いのち」ということ、そして時代を超えて「何かを残す」ということなどについて、深く考えさせられ、高貴な感動を与えてくれます。読みやすい見事な訳です。 | オススメ① | | | オススメ② | | オススメ③ | | |
| 『聖書』日本聖書協会 図書館所蔵あり193||Se19 JC44 | | 『職業としての学問』(岩波文庫) マックス・ウェーバー 岩波書店 図書館所蔵あり 331.5||W51 *現在推薦図書コーナーにあります(2階推薦100A) | | 『木を植えた男』 ジャン・ジオノ あすなろ書房 図書館所蔵あり 絵本||じ |
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************************************************************************************** 立ち上げ時から「SERVE」には深い関心とサポートを下さった阿久戸学長に、公開2年目、運用方針が決まったところでの初インタビューとなりました。 お奨めの本は、本学らしい『聖書』と『職業としての学問』。そして、リポジトリの意義にも通じる『木を植えた男』。改めて、保存し残すことの重要さを考えさせられました。(菊)
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