登録件数1000件突破記念インタビュー

SERVE登録件数1000件突破
記念インタビュー
このたびSERVEの登録件数が1000件を突破しました。
**************************************************************************************
その記念すべき1000件目の論文が寺崎先生の「初年次における教育の課題」です。さっそく先生へインタビューに伺いました。

<SERVE登録件数1000件目>
担当者:先生の論文がSERVE登録件数1000件目の記念すべき論文になりました。 先生は普段リポジトリをご利用になりますか?
寺崎先生:ごめんなさい。あまり利用していないです。CiNiiは、先行研究論文を探すときとても便利なのですが、昔のように目録を1頁ずつめくって探す方も好きです。寄り道をして宝物を見つけるといったような。最近は検索項目を絞らずにわざと大きくして楽しんでいます。
担当者:   研究者の先生同士でPDFを送りあったりということをなさったりしていますか?
寺崎先生:わたしはあまりしていないです。
担当者:CiNiiやSERVEから先生の論文がPDFでご覧いただけますので、先生同士のやりとりなどでも使っていただけたらと思います。
<該当の論文について>
担当者:今回の該当の論文「初年次における教育の課題」(聖学院大学論叢)についてですが、これを研究テーマに選んだきっかけがありましたら教えてください。
寺崎先生:1年生になることの意味を人生における意味として考えたいと思っていました。いわゆる1年生問題(プロブレム)についての議論を辿るなかでずっと気になっていたことがありました。わたし自身のことや娘のことを振り返ってみると、1年生になることは何か一大事だと感じていました。「問題児」の状況を教育によって解消すれば、プロブレムが解決したといえるのかどうか。そうしたことが気になっていました。わたしたちが生まれるずっと以前、たとえば古代から、人生には7つの時期があり、それぞれの区切り、節目を感じながら人は生きてきました。節目のときは生の危機であり大変だけれども、それをわたって生きてきた。1年生問題についても、そこをプロブレムとするよりもむしろ、人生の変わり目にあることを皆で共有して生きていく方が人生の経験としては豊かになるのではないかと考えました。ちなみに、古今東西で人生の最初の節目は7歳ごろに捉えられています。
担当者:自分のことを振り返ってみても、入学など環境が大きく変わる時は変身できる時だなと感じます。今は逆にその時を奪ってしまっているのかもしれないですね。
寺崎先生:その変身の時は困惑のなかにあるけれども、そういう時をもってこそ、自分の生になると思うのです。
<今後の研究について>担当者:   今後の研究予定を教えてください。
寺崎先生:今一番やりたいことは古典を読むことです。ルソーの教育観をまとめることがわたしのライフワークなので、彼の思想を理解するために、とくにプラトンの作品を読みたいです。今、わたしはルソーが『エミール』を公刊した年齢に近づいています。ヒポクラテスの人生区分に従えば、「成年期」の末期、節目のときに入ろうとしています。研究の原点に戻るときなのかもしれません。
担当者:それは現実の問題よりも理論に帰ろうということですね。児童学科の先生方は現実の問題と理論との折り合いが大変だろうなと感じたのですが。
寺崎先生:日々の生活のなかで教育について考えることはたくさんあります。教育の理論はそれぞれの時代の人々の生活から生まれるので、とても人間くさいです。現実と理論は違うというよりも、現実がどのように理論化されうるのか、そこに難しさとおもしろさがあると思います。
<学生に伝えたいこと>担当者:   学生のみなさんに伝えたいことはありますか。
寺崎先生:言葉は情報や知識を得るのに便利なものである一方で、「わたし」という今をのせていけるものでもあります。大切にしてほしいと思います。
<おすすめの本>
担当者:最後にお勧めの本を教えてください。
寺崎先生:聞かれると予想して、用意しておきました。まずはじめに『子どもの世界をどうみるか―行為とその意味』子育て中、研究と生活の両立などありうるのだろうかと悩んでいた時に出会った本です。この本に出会っていなければ今のわたしは無かったかもしれません。次に『共通感覚論』共通感覚、コモン・センスの問題は教育に結びつくことをこの本から見出すことができました。ルソーが共通感覚を「子どもの理性」としていることもこの本で論じられています。わたしにとって、ルソー研究に不可欠な「下敷き」です。最後に『ねこはしる』娘が小学生の頃、毎日工藤 直子さんの『のはらうた』を読んでいるのを聞いていて、わたしも彼女の作品が好きになりました。実は、この作品だけは最後まで声に出して読むことができないのです。とにかく一読をすすめます。

オススメ①

オススメ②

オススメ③

津守 真『子どもの世界をどうみるか―行為とその意味』 (NHKブックス)日本放送出版協会 1987.5図書館所蔵あり(3階書架・4階書架)376.11||TS73中村 雄二郎『共通感覚論』(岩波現代選書)岩波書店 1979.5図書館所蔵あり(2階書架)104||N37工藤直子『ねこはしる』童話屋 1989.3図書館所蔵あり(4階児童書・絵本)909.3||Ku17n



**************************************************************************************指折り数えて待っていた“登録件数1,000件突破”!該当論文が確定して、早速、お願いのメールをしたところ、お忙しい中にもかかわらず、快く引き受けてくださいました。ありがとうございます。先生が紹介された『ねこはしる』は私も好きな本の1冊。最後の場面を思い出し、ちょっと涙ぐみながら、先生の「最後まで声に出して読むことができないのです」に共感。ご主人やお嬢さんとのエピソードなど書ききれませんでしたが、心温まるインタビューの時間になりました。その雰囲気の一部でも、伝わると良いのですが・・・。次のインタビューは?! 1,000件突破第2弾をやりたいところですが、さてできますか。ダメでも公開2周年記念もすぐそこです。次はどなたにインタビューしようか、今から楽しみです。(菊)

インタビューページにもどる   トップページにもどる