SERVE公開12周年記念インタビュー

SERVE公開12周年記念インタビュー
聖学院学術情報発信システム「SERVE」は2021年2月28日に公開12周年を迎えました。この間、SERVEの活動にご理解とご協力をいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

SERVE公開12周年を記念し、心理福祉学部心理福祉学科教授である、
村上純子 先生
へ書面にてインタビューを行いました。

<1.SERVEが12周年を迎えますが、そこで一言お願いします。>
 継続は力なり。何事もですが、続けていくということは大事ですね。機関リポジトリの働きは決して目立つものではありませんが、私たち大学教員の教育と研究を下支えしてくれるものであると実感しています。

<2.アーカイブやリポジトリを利用していて助かったことはありますか?>
 今年は本当にリポジトリにお世話になった1年でした。新型コロナウィルス感染症のために、1年を通してほとんどオンライン授業でしたから、学生たちに何か資料を提示したり、研究室にはあるけれど自宅に持って帰っていない資料などもオンラインで検索してすぐに取り出せたりと、とても便利に使わせていただきました。今年、私の論文アクセス数が多かったそうですが、おそらくその半分は私が自分でアクセスしたものではないかと思います(笑)。
 インターネットからアクセスできる情報というのはとても便利で大いに活用していますが、失敗したこともありました。ある出版社がホームページに載せていた資料を授業課題の参考資料に使おうと思いURLを控えておいたのですが、ダウンロードしておきませんでした。それで、いざ学生に「このURLからアクセスしなさい」と提示した時には、すでにリンクが切れていたのです。1か月前に授業準備したのがあだになりました。いえ、その前にちゃんとダウンロードしておけばよかったのですが。その点、大学のリポジトリはたいていの場合、いつでもどこからでも同じ情報にアクセスできるので、安心して使えます。
 と同時に、インターネット上に自分の文章が載るということは全世界の人がアクセスできるということですし、しかも機関リポジトリに載せたものは半永久的に残ります。多くの人の目に触れるということは自分の書くものにしっかりと責任を持たなければならないのだなと思わされています。

<3.これからのSERVEや図書館に期待することはありますか?>
 今年は学生たちが図書館に自由に行くことができず、レポートを書くのにとても苦労していました。私も改めて図書館の必要性を実感した一年でした。また、レポートを書くためだけでなく、日向ぼっこしながら読書したり、のんびりしたりなど、居場所としての図書館の機能も、今年入ってきた1年生たちがまだ味わえていないのはとても残念だと思います。学生がキャンパスに戻ってきたら、彼らが充実した図書館ライフを送れるように、ぜひサポートしてください。図書館のインスタView君【聖学院大学総合図書館】やフォトコンテスト企画なども楽しみにしています。

<4.現在の研究内容と今後の研究について教えてください>
 現在はこどもの病気や障害が家族にどんな影響をもたらしているのかを調査研究しています。今とりかかっているのはアレルギー疾患と発達障害が、家族のQuality of Life (QOL)にどのような影響を与えているのかについての調査です。病気や障害は本人の問題だけではなく、周りの人もそれによってストレスや不安を感じたり、心配事が増えたりします。ですから本人だけでなく家族にどう関わればより効果的に治療や支援できるのかを明らかにしたいと思っています。

<5.学生に伝えたいことはありますか>
 今は人生のジグソーパズルのピースをひとつずつ集めている時期だと思います。ピースを手に入れても、まだそれがどこに当てはまるのかわからないかもしれません。でもどのピースも絶対に必要なものです。無駄なものはありません。少しずつ、自分の絵を完成させていってください。
 そして、本を読むことは皆さんの絵を色鮮やかにしてくれます。マンガでも小説でも、たくさんの本と出会ってください。

<6.お勧めの本をお願いします>
 基本的に、心理学や自分の研究とは関係のない本が好きです。私にとって読書は現実からの逃避行動なので(笑)。作者としては、宮部みゆきさんや乃南アサさんが好きです。最近では小野不由美さんの「十二国記」にはまりました。皆さんも自分の好きな作家さんや本のジャンルを見つけてくれたらいいなと思います。マンガやアニメの原作を読んでみるというのもいいのではないでしょうか。

お勧めの本は読みやすいものをあげます。


「あらしのよるに」シリーズ 作:木村 裕一 絵:あべ 弘士
 オオカミのガブとヤギのメイの友情物語です。全7巻と特別編がありますが、絵本なので一気に読めます。「ごちそうなのにともだちで、なかよしだけどおいしそう」と悩むガブが好きです。私にとっては、人に流されることのほうがずっと楽だけど、自分の気持ちを大事にしていきなさいと自分を励ましてくれる、そんな本です。皆さんはどんなメッセージを受け取るでしょうか。

「モモ」 作:ミヒャエル・エンデ
 人の話を聞くのがとても上手な少女モモが、時間泥棒である灰色の男たちと対決して、街の人たちの時間を取り戻そうとする物語です。こども向けの本ですが、むしろ「時間がない!」と追い立てられるような日々を過ごしている大人にこそ読んでほしい本です。学生の皆さんは今のうちにぜひ読んでみてください。

「ナルニア国物語」 作:C.S.ルイス
 全7巻のファンタジー物語ですが、それぞれの巻が独立しているので1冊ずつ読んでも面白いです。主人公たちが異世界を訪問する王道のファンタジー物語です。実は聖書物語を背景にしているので、そういう視点から読んでも面白いかもしれません。

オススメ①オススメ②オススメ③
木村裕一作ミヒャエル・エンデ著C.S.ルイス著
『あらしのよるに』
   シリーズ
『モモ:
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語
『ナルニア王国』
   シリーズ
講談社 1994.10岩波書店 1976.9岩波書店 2066.5
※画像は完全版※画像は岩波少年文庫版
 第1巻『ライオンと魔女』
図書館所蔵あり図書館所蔵あり図書館所蔵あり
2階推薦100S
絵本||き||1-7
2階推薦100S
909.3||E59m
4階児童書
4階和図書
909.3||L59||1-6

SERVE12周年記念インタビューをお届けします。今回はwithコロナということで、運用方針策定記念インタビュー以来の書面による質問インタビューとなりました。
余談ですが、ナルニア王国物語の第一巻、『ライオンと魔女』。最近は『ライオンと魔女と"洋服ダンス"』と、タイトルに一文字加わっているようです。(田y)